日本の国花でもある桜は
日本人に最も愛されている花です
なぜこんなにも愛されているのか
色々と議論されていますが
理由の一つに
桜には「はかない」イメージがあるからといわれています
春にぱっと咲いて、あっという間に散ってしまう桜
このような
「変わらないものはなにもない」「移り変わっていく」
といった無常観を感じさせる様が
多くの日本人の心に刺さるのかもしれません
そんな日本人が愛する「儚い」を表現する大和言葉を5つご紹介します
消えてしまいそうで頼りなく美しい「儚い」大和言葉 5選
刹那(せつな)
非常に短い時間
元は仏教用語で時間の最小単位
一回指を弾く間に65回の刹那があるといわれています
食うとすれば今だ。もしこの機をはずすと来年までは餅というものの味を知らずに暮してしまわねばならぬ。吾輩はこの刹那に猫ながら一の真理を感得した。
夏目漱石 「吾輩は猫である」
玉響(たまゆら)
ほんの一瞬
ゆら=玉(宝石)が触れ合う音の事
翡翠や瑠璃などの美しい宝玉が触れ合ってかすかに揺れて音をたてるところから
しばし、わずかな時間を意味するようになりました
曲玉の二つ三つ糸に通して静かにゆると玉が触れ合ってかすかな音がする。この音を治子は“たまゆら”と言っていた。
川端康成 「たまゆら」
泡沫(うたかた)
水面に浮かぶ泡
はかなく消えてしまう事の例えとして用いられています
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
鴨長明 「方丈記」
【現代語訳】
河の流れのよどみに浮かんでいる水の泡は、一方では形が消えてなくなり、一方では形ができたりして、長い間そのままの状態でとどまっている例はない
空蝉(うつせみ)
空しい世の中
はかない人間といった意味から
蝉の抜け殻をあらわす「空蝉」の漢字が当てられています
空蝉の 殻は木ごとにとどむれど たまのゆくへを 見ぬぞかなしき
古今集・物名・読み人しらず・448・10世紀
【現代語訳】
蝉の抜け殻は木々に残り、人の亡骸は棺桶に残るけど
両方とも魂の行き先を知ることができないのは悲しい事です
玉の緒(たまのお)
命の事
玉=魂(たましい)
緒=それをつなぎとめる紐
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
新古今和歌集
【現代語訳】
私の命よ、絶えるのならば絶えてしまえ。 このまま長く生きていくうちに、恋に耐え忍ぶ力が弱まってしまうといけないから。
他にも、短い、宝石を通した紐の意味があります
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