ひらがなは元々手紙や日記などの
私的な文書を書くために作られた文字です
当時の社会では正式な文書は男性が漢字のみを使って書いたため
平仮名はもっぱら女性が使用する文字として発達しました
平仮名の書体は漢字やカタカナよりも
書き手の個性や感情が現れるといわれています
漢字やカタカナよりも平仮名のほうが曲線が多く
書体としての自由度が高いからです
大和言葉は日本人が美しいと感じる響きや語感が特徴ですので
感情や個性が現れる平仮名と相性が良いです
今日は平仮名で書くとかわいく優雅な大和言葉をまとめました
【ひらがなで書くとかわいくて優雅】―ひらがなで書く大和言葉 5選―
たゆたう
意味①
ものがゆらゆら揺れ動いて定まらない。揺れ動く、漂う。
【例】
すすきが風を受けてたゆたう
波間小舟がたゆたう
日は八分通り暮れ、園の奥や、墻壁の腰に薄墨を溶かしたような闇がたゆたう。
岡本かの子 「阿難と呪術師の娘」
自然と相性が良く美しい情景が目に浮かぶようです
意味②
心が迷って決めかねてる。ためらう。
あるのは香気と光りとばかり。ああわが園の扉は開くかと見え。たゆたう瞬間の思いをうたっているのです。
宮本百合子 「獄中への手紙」
とこしえ
意味
長く変わらずいつまでも続く事。永久
【例】
とこしえの眠り
とこしえの愛
とこしえにうつくしき海の国
あらそいをさけ手をつなぎ
海の神に祈る海のはらから
われらたのしくまなび
われらたのしくはたらく海の国林芙美子 「ひらめの学校」
漢字では「常しえ」と表示します
はかない
意味
短時間のうちに空しく消えていく様子
転じて、不確実で頼りにならない様
【例】
はかない恋
はかない望み
はかなく散る
あんなに固く信じあっていたのに、お養父さんもお母さんも忘れてこんなに働いていたのに、私は浅い若い恋の日なんて、うたかたの泡よりはかないものだと思った。
林芙美子 「新版 放浪記」
はんなり
近畿地方の言葉。特に京都で使用される京ことば。
意味
上品で華やかな様子
例
はんなりした女性
はんなりとしたお味
「そうかいなあ」とか「そうでっしゃろなあ」とか大阪言葉でいっている語尾だけが庭の方へこだましてまいりますので、はんなりとした、余情に富んだ、それでいてりんりんとひびきわたるようなこえでござりました
谷崎潤一郎 「蘆刈」
まほろば
意味
すばらしい場所、住みやすい場所。理想郷。
日本の国土を讃えた言葉
倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく青垣(あをかき) 山籠(やまごも)れる 倭し麗(うるは)し
古事記
訳:
大和は国の中でも最もよいところだ。重なり合った青い垣根の山、その中にこもっている大和は美しい
※青垣=青々と茂っている垣。特に、青々とした山が、垣のように周囲を取り囲んでいるさま
Twitter:しりとり先生 @siritorifun (フォローお待ちしております)