【い】

【入相の鐘】(いりあいのかね)

 

「入相」は太陽が山の端に入るころ

 

 

日没の時にお寺で勤行の合図につき鳴らす鐘です

 

 

入相の鐘を突くお寺は少なくなっていますが
夕暮れに、どこからかゴーンと鐘の音が聞こえると
なんだか懐かしい感じがします

 

 

 

 

智恩院の櫻が入相の鐘に散る春の夕に、これまで類のない、珍らしい罪人が高瀬舟に載せられた。

 

「高瀬舟」森鴎外

 

豊吉のいった通り、浅草寺の入相の鐘が秋の雲に高くひびいて、紫という筑波山の姿も、暮れかかった川上の遠い空に、薄黒く沈んでみえた。

 

「両国の秋」岡本綺堂