【オノマトペ】

【オノマトペが心地よい朝にぴったりな短編】 —1分で読めるのどかな物語ー

 

 

語彙力は

 

言葉の知識と

その言葉を使いこなす能力

 

です

 

 

言葉を使いこなす能力を上げる一番の近道は

名作を読む事です

 

 

今日は新実南吉の「二ひきの蛙」をご紹介します

1分で読めますのでまずは読んでみてください!

 

 

二ひきの蛙  全文 新実南吉 

 

 

緑の蛙と黄色の蛙が、はたけのまんなかでばったりゆきあいました。

 

 

「やあ、きみは黄色だね。きたない色だ。」
と緑の蛙がいいました。

 

 

「きみは緑だね。きみはじぶんを美しいと思っているのかね。」

と黄色の蛙がいいました。

 

 

こんなふうに話しあっていると、よいことは起こりません。

二ひきの蛙はとうとうけんかをはじめました。

 

 

緑の蛙は黄色の蛙の上にとびかかっていきました。

この蛙はとびかかるのが得意でありました。

 

   

黄色の蛙はあとあしで砂をけとばしましたので、あいてはたびたび目玉から砂をはらわねばなりませんでした。  

 

 

するとそのとき、寒い風がふいてきました。

 

 

二ひきの蛙は、もうすぐ冬のやってくることをおもいだしました。

蛙たちは土の中にもぐって寒い冬をこさねばならないのです。

 

 

「春になったら、このけんかの勝負をつける。」

といって、緑の蛙は土にもぐりました。

 

 

「いまいったことをわすれるな。」
といって、黄色の蛙ももぐりこみました。  

 

 

寒い冬がやってきました。

蛙たちのもぐっている土の上に、びゅうびゅうと北風がふいたり、霜柱が立ったりしました。  

 

 

そしてそれから、春がめぐってきました。

 

 

土の中にねむっていた蛙たちは、せなかの上の土があたたかくなってきたのでわかりました。

 

 

さいしょに、緑の蛙が目をさましました。土の上に出てみました。

まだほかの蛙は出ていません。

 

 

「おいおい、おきたまえ。もう春だぞ。」
と土の中にむかってよびました。  

 

 

すると、黄色の蛙が、

「やれやれ、春になったか。」
といって、土から出てきました。

 

 

「去年のけんか、わすれたか。」
と緑の蛙がいいました。

 

 

「待て待て。からだの土をあらいおとしてからにしようぜ。」
と黄色の蛙がいいました。  

 

 

二ひきの蛙は、からだから泥土をおとすために、池のほうにいきました。

 

 

池には新しくわきでて、ラムネのようにすがすがしい水がいっぱいにたたえられてありました。そのなかへ蛙たちは、とぶんとぶんととびこみました。

 

 

からだをあらってから緑の蛙が目をぱちくりさせて、

「やあ、きみの黄色は美しい。」

といいました。

 

 

「そういえば、きみの緑だってすばらしいよ。」
と黄色の蛙がいいました。

 

  

そこで二ひきの蛙は、
「もうけんかはよそう。」
といいあいました。  

 

 

よくねむったあとでは、
人間でも蛙でも、きげんがよくなるものであります。

 

 

底本:「 ごんぎつね  新美南吉 童話作品集 1」  てのり文庫

 

 

 

 

まとめ

 

どうでしたか?

 

 

 

「二ひきの蛙」は

「ばったり」「びゅうびゅう」「とぶんとぶん」「ぱちくり」

 

 

 

などのオノマトペが

随所に効率的にちりばめられていたり

  

 

蛙の掛け合いで

「おいおい…」「やれやれ…」「待て待て…」

 

 

冬眠前のいざこざが嘘だったかのようにスピード解決する様子は

とてもテンポが良くて微笑ましいです

 

 

このような文章のテンポは

単なる言葉の知識ではなく、言葉を使いこなす能力がないと表現できませんので

 

 

名作を読んで言葉の上手な使い方を学んでいく事が

語彙力向上にはとても重要です🐱

 

 

 

しりとり先生
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無駄になにか争ってる人みるとカエルの爪の垢でも煎じて飲ませたくなります♪

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