台風が秋の季語と認定されたのは大正時代からですが
秋に怒涛のように日本列島を脅かす非日常は
昔から様々な言葉で表現されています
今日は、台風の接近~台風一過までを振り返ります
【秋風鈴が教えてくれる台風】 —台風にまつわる言葉まとめー
秋風鈴(あきふうりん)
台風が近づくにつれ徐々に風が強く感じられるようになってきます
秋になってもつられたままの風鈴(秋風鈴)が
台風の接近を知らせてくれます
夏の涼しさを演出する音と違い
秋風鈴の出す音はなんだか寂しくて寒い感じがします
野分(のわき)
秋の野の草を分けて吹くことから
秋の台風のこと
野分が来ている間は強い暴風雨になすすべもなく
じっと通り過ぎてくれるのを待つしかありません
稲妻(いなづま)
雷の事
稲の夫(つま)の意味で
「稲は雷光と交わってみのる」
との言い伝えから生まれた言葉
稲妻や 闇の方行く 五位の声
松尾芭蕉
【訳】稲妻がしきりに閃き、反対側の暗やみの中を五位鷺が不気味な声で鳴き立てながら飛び過ぎる
五位は五位鷺(ごいさぎ)の事
夜行性があり夕方から夜にかけて不気味な声を出して飛ぶ
天使の梯子(てんしのはしご)
荒れ狂った雨風もようやく通り過ぎ
運がよければ天使の梯子がみられます
雲の切れ間から、光の柱が放射状に地面に届いているように見える気象現象で
「薄明光線(はくめいこうせん)」「光芒(こうぼう)」とも
宮沢賢治は「光のパイプオルガン」と詠んだ
もしも楽器がなかったら いゝかおまへはおれの弟子なのだ ちからのかぎり そらいっぱいの 光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ
宮沢賢治 「告別」※
※教師として赴任していた学校を去る時に生徒に送ったとされる詩
台風一過(たいふういっか)
台風が通り過ぎて晴天になる事
台風(野分)の後は草がなぎ倒されたり
庭に物が飛び散ったりと荒れた様相がしばしばみられるが
古来それもまた風情あるものとして受け止められてきた
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。
枕草子
訳:台風の翌日はたいそうしみじみと趣深い。
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